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<title>中原行夫の書斎</title>
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<title>モリー・マーフィー・シリーズ１</title>
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<description>　私にとっては待望久しいリース・ボウエンの「モリー・マーフィー・シリーズ」の第１...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　私にとっては待望久しいリース・ボウエンの「モリー・マーフィー・シリーズ」の第１作「ＭＵＲＰＨＹ’ＬＡＷ」の日本語版がやっと出ました。現在、私のメルマガはニューヨークを舞台にした作品を取り上げているのですが、次回のテーマとして、アイルランド絡みのミステリを考えています。その関係で候補の作品をピックアップしている段階で、このシリーズを見つけたのですが、まだ日本語版が出ていませんでした。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　メルマガで取り上げる為にはたくさんの作品を読まなければならないわけですが、辞書片手に原語で読むのと日本語で読むのではスピードが違います。ですから、このシリーズの日本語版を待っていたのです。それがなかなか出ないので困っていたわけです。六作出ているこのシリーズの三作まではなんとか読み終わったので、どんどん続けて日本語版が欲しいところです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　アイルランドでレイプを逃れるために男を殺してしまい、ニューヨークに逃げてきた若い女性を主人公にしたミステリです。時代は２０世紀初頭。勝ち気なお転婆娘が怖い物知らずで何事にも積極的に飛び込んで行くという設定ですが、ハードボイルド派にはちょっと物足りないところがあります。一番の読みどころは２０世紀に入ったばかりのニューヨークが生き生きと描かれているところでしょうか。歴史風俗ミステリと言えるでしょうか。&lt;/p&gt;</content:encoded>


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<title>ジョゼフ・ミッチェル１</title>
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<description>　ジョゼフ・ミッチェルを評する言葉には 「 paragon of reporte...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　ジョゼフ・ミッチェルを評する言葉には&amp;nbsp; 「 paragon of reporters」 とか、「 New　Yoker reporter who set the standard」 がありますが、私は 「literary journalist」 が一番彼に相応しい評価のような気がします。２０世紀の前半にニューヨークに生きた様々な庶民の姿を我々に見せてくれます。オー・ヘンリーがフィクションで描いたニューヨークを、ジョゼフ・ミッチェルはノン・フィクションで描いた言えるでしょうか。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　彼の作品は何冊かにまとめられていて今日でも簡単に読むことが出来ます。その中の一冊が「マックソーリーの素敵な居酒屋」と題された本です。この本は全部は訳されていませんが、何編かは訳されていて、「ニューヨーク拝見」「ニューヨーカー・ノンフィクション」「ニューヨーカー短編集」などに入っています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　表題になっている「マックソーリーの素敵な居酒屋」という作品は存在しません。巻頭にある 「the old house at home」 という作品に出てくる酒場の名前なです。短編集には集録した中の一編の題名を全体の表題にすることはありますが、こういうのはあまり聞いたことがありません。日本ならサブタイトルに「ジョゼフ・ミッチェル作品集」と付けるのが普通ですが、アメリカではそうしないようです。&lt;/p&gt;</content:encoded>


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<title>クイーンとハードボイルド</title>
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<description>連載中のメルマガ執筆のためにエラリー・クイーンを読んでいて、「おやっ！」という文...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt; 連載中のメルマガ執筆のためにエラリー・クイーンを読んでいて、「おやっ！」という文章にぶつかりました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;「ブロードウェイにはハードボイルドと称する連中がうじゃうじゃしてますが」&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;これは１９３３年作の「アメリカ銃の秘密」（早川文庫版）の５７ページにあります。訳は大庭忠男氏です。クイーン自らが解説文ではなく、作品の中で「ハードボイルド」という言葉を１９３３年の時点で使っていたのかと驚いた次第です。この言葉が１９３３年にはすでに市民権を得て、会話の中で使われるようになっていたことを意味しているからです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;所が、井上勇氏の創元文庫版では５１ページでこう訳しているのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;「ブロードウェイは、気むずかしいといおうか、なんといおうか、そんな連中でいっぱいだけれど」&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;これでは大庭氏が勝手に「ハードボイルド」という言葉を持ち出して来た可能性も考えられるわけです。確認のためには原文を読む必要があるわけですが、現在、エラリー・クイーンの作品は日本では簡単には手に入りません。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;結論が出ないまま読み進めると、早川文庫版の２１３ページでこういう文章がありました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;「ニュース・カメラマンってやつは、新聞記者より１０倍もハードボイルドなんです。」&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;そこで、また創元文庫版を見てみると、２０９ページにこういう文章がありました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;「ニュース映画のカメラマンは新聞記者よりも、およそ千パーセント以上、ハード・ボイルドだ。」&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;二人の訳者が同じように訳しているので、原文でも使っていると思っていいでしょう。最初の文では井上氏の方が意訳したのだと私は思います。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>書籍・雑誌</dc:subject>

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<dc:date>2006-05-16T18:36:59+09:00</dc:date>
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<title>忘れられたピランデルロ？</title>
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<description>　連載中のメルマガ執筆のために必要になって、ピランデルロを読もうと思って探しまし...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　連載中のメルマガ執筆のために必要になって、ピランデルロを読もうと思って探しました。が、街の本屋さんには置いてなかったので、ネットでよく利用する古本屋ネットで探した所、一冊の文庫本に４５００円という値段で出ていました。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　古本の値段は需要と供給の関係で成り立っているので、値段は実は多くを語っているのです。つまり、一冊の文庫本に４５００円という値段を付けているということは、一般の読書人は読まなくなった作家だが、ピランデルロを欲しいと思う人間はこの値段でも買う筈だという判断があるのです。　&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　その気になってネット上で検索してみたのですが、ピランデルロについて正面から取り組んでいる文章には出会いませんでした。読む人も書く人もいなくなった作家。ピランデルロはそういう存在になっているのかという発見は驚きでした。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　&lt;/p&gt;</content:encoded>


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<dc:date>2006-05-09T08:36:27+09:00</dc:date>
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<title>「蜘蛛の巣のなかへ」２</title>
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<description>　彼の作品の内容が変わって来ているという評を、最近よく目にしますが、どう変わった...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　彼の作品の内容が変わって来ているという評を、最近よく目にしますが、どう変わったのかは誰も口にしないようです。全盛期を過ぎて下降線を辿っているのか、それとも、これからもっと別の方向に伸びていくのかの判断を避けているからでしょう。　この作品がトマス・Ｈ・クックの作品の中で、どういう位置を占めるのか考えてみることで、一つの方向性を見てみたいと思います。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　彼の作品の中で最も評価が高いのは「記憶」シリーズと呼ばれている四つの作品ですが、これは日本語版で勝手につけた名前で、原作で「MEMORY」がついているのは「死の記憶」だけです。「蜘蛛の巣のなかへ」はその「記憶」シリーズの中の「夜の記憶」に繋がると私は解釈しています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　「夜の記憶」はポール・グレーヴズというミステリ作家の過去と現在を描いた作品です。彼は子供の頃、両親が事故死したあと、姉と二人暮らしをしていたのですが、家に押し入ってきた強盗が姉を目の前で惨殺した過去を忘れようとニューヨークに出て来て、ミステリを書いて、一人で生きています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　その過去の殺人事件の真相が読み進む読者の前に次第に明らかになってくるという設定は、この作品と似ているのです。「夜の記憶」（訳は同じ村松　潔氏です）では、各パートの頭に、主人公ポール・グレーヴズの作品からの抜粋を載せているのですが、第１部ではこうなっています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　「嘘をついた人の耳元には、絶えず真実がささやきかける」&lt;br /&gt;　　　　　　（「クモの巣にかかって」ポール・グレーヴズ）&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　この「クモの巣にかかって」は原文では「into the web」となっています。つまり、「蜘蛛の巣のなかへ」と同じなのです。さらに、第３部では「夜の森」という作品から、「本当に自然を見たいなら、空気をクモの巣だと考えてみることだ」という文章を取りだしています。ここでも「web」(クモの巣）という言葉を使っています。この拘りが、作品の鍵を握っていると思います。&lt;/p&gt;</content:encoded>


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<title>「蜘蛛の巣のなかへ」１</title>
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<description>　トマス・Ｈ・クックの作品は私のメルマガ（「海外ミステリを読む」）で「PERIL...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　トマス・Ｈ・クックの作品は私のメルマガ（「海外ミステリを読む」）で「PERIL」(邦題「孤独な鳥がうたうとき」）までの１４作品は取り上げましたが、この作品は当時は翻訳が出来ていなかったので触れませんでした。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　１９才で故郷を捨てた男が、２０数年後に一人暮らしの父親の死を看取る為に戻って来て、父の死までの３ヶ月をどう過ごしたかを描いた作品です。彼は家族を持たないことを決心し、教師をしながら一人で生きています。そんな息子を父親は「なぜ、そんなことを望むんだ？ひとりで生きて行くなんて」と非難します。それに対して彼は「家族がいた時、僕の人生はどうだったか思い知らされたかも知れないよ」と答えるのです。　&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　愛もなく、憎み合う父と母。殺人事件を引き起こし留置所で首つり自殺をした弟。彼との結婚を断った初恋の女性。彼はそういう状況から逃げ出したのですが、戻って来た彼の前に、その逃げ出した過去が立ちふさがることになります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　「世界の歴史を知らずに生きるのはたやすいが、自分自身の歴史を知らずに生きていくのは容易なことではない」&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　町を牛耳る保安官親子。父の過去。弟の自殺。初恋の女性。小さな町の人間模様が悲しく乱舞する物語です。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　この作品は文春文庫から村松　潔氏の訳で出ています。クックの作品を読んだことがない方で、これから読んでみたいと思われる方は、私のＨＰの「ミステリ資料室」にメルマガのバックナンバーがありますので、参考にして下さい。私は決して結末は明かさない主義なので、その種の心配はありません。&lt;/p&gt;</content:encoded>


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<title>ヴァン・ダインの伝記６</title>
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<description>　ヴァン・ダインは弟と二人で１９１４年３月に「オリンピア号」でフランスに向かい、...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　ヴァン・ダインは弟と二人で１９１４年３月に「オリンピア号」でフランスに向かい、１９１５年３月に「ルシタニア号」でアメリカに戻ったと伝記にはあります。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　この「ルシタニア号」は歴史に残る客船なのです。１９１５年５月1日にニューヨークを出航し、６日にドイツのＵボートに魚雷で撃沈され、１０００人を越える乗客が死に、それまで中立を保っていたアメリカは、この事件で反ドイツの気運が高まり、参戦のきっかけになったのです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ヴァン・ダインは３月にその船に乗ったわけです。当時、「ルシタニア号」は大西洋航路で最も早い船で、イギリスとアメリカの間を５日弱で渡っていました。　ドイツ贔屓だったヴァン・ダインが戦火に追われて母国に戻る時に利用した船が、そのドイツに撃沈され、アメリカが参戦することになったのですから、運命の皮肉を感じます。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　&lt;/p&gt;</content:encoded>


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<title>ヴァン・ダインの伝記５</title>
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<description>　ヴァン・ダインの父親は１９１３年９月１２日に６３才で死亡します。この頃の彼はニ...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　ヴァン・ダインの父親は１９１３年９月１２日に６３才で死亡します。この頃の彼はニューヨークにいて、「スマート・セット」の編集長をしていました。母親からの知らせで彼は葬儀に出席するために帰省します。遺産のことが頭にあったのかも知れません。この父親には確かに遺産はあったようです。ですが、遺言は驚くべき内容で、二人の息子には一人１ドルだったと伝記作者は伝えています。二人は父親の周りの人々からは「crazy sons」と思われていたようで、父親も息子達は母親の老後をみてくれるとは思わなかったようです。その結果、息子達に２ドルを、そして残りはすべて息子達の母親に遺したそうです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　ビジネスの世界にいる父親とその周囲の人間から「crazy sons」と思われていたことは、文筆家と画家を目指していた二人の息子にすれば当然のことで、「あそこの息子はいい息子」だと評判がいいようなら商売にしか向いていないわけですから、彼等には勲章みたいなものです。&lt;/p&gt;</content:encoded>


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<title>ヴァン・ダインの伝記４</title>
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<description>　ヴァン・ダインの本名はWillard Huntington Wrightですが...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;　ヴァン・ダインの本名はWillard Huntington Wrightですが、弟はStanton Macdonald-Wrightです。兄弟なのに名前が違うのは、弟が自らの意志で改名したからです。その理由について、伝記は次のようなエピソードを紹介しています。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　 Wrightという同名の有名人がいて、その人の親戚かと尋ねられることが多かったらしく、そのことに「ｔｉｒｅｄ（疲れて）」改名したというのです。作家の兄と画家の弟ですが、変わっていた点では似たところがあったようです。&lt;/p&gt;

&lt;p&gt;　同名の有名人というのは、「帝国ホテル」の設計者としても知られる、建築家のFrank Lloid Wrightです。&lt;/p&gt;</content:encoded>


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