ヴァン・ダインの伝記1
ヴァン・ダインの名探偵ファイロ・ヴァンス物語は最初の数冊こそベストセラーになるほどの人気でしたが、そのあとは次第に売れ行きが落ち、50年代から60年代にはすでに忘れられた作家になり、今日ではエラリー・クイーンの先駆者としての地位を与えられているだけで、ハードカバーは勿論、ペイパーバックでさえ発売されていません。一方、日本では文庫版で全作品が今でも新刊書として売られていますし、雑誌で特集が組まれるほどの人気を維持しています。原作が読まれなくなっているのに、翻訳された国では読む人が多いのは何故かと考えてみるのも面白いことではないでしょうか。
ヴァン・ダインは1939年に亡くなったのですが、伝記は1992年まで誰も書こうとはしませんでした。書いたのはジョン・ラファリーという若手の美術評論を中心に執筆活動をしている人で、タイトルは「別名S・S・ヴァン・ダインーファイロ・ヴァンスを創り出した男」です。この本は1993年に評論部門でエドガー賞を受賞していますが、何故か日本の出版社は翻訳しようとしません。
私がこの本を読んだのは、書いているメルマガのためです。彼はニューヨークを舞台にしながら、ニューヨークという街を描いていないので、何故だろうと思ったからです。彼の実人生からそれを探ろうと思って読んだのです。そのことについて、メルマガとは別の視点から書いてみたいと思います。

